不動産投資は節税になるということをきいたことがある方も多いと思います。でも、不動産投資って最近はサブリースとかもあって大幅な赤字にはならなそうだけど、節税ってどういうこと?と思っている方もいるのではないでしょうか。節税の仕組みについてお伝えしておきます。
目次
節税のしくみ
①所得にかかわる税金の節税が主な対象
節税についてお話しする前に、まず、税金そのものについて理解を深めることが必要です。世の中にはいろいろな税金の種類がありますが、今回の節税に関係するのは、所得にかかわる税金になります。大きく二つ、「所得税」と「住民税」です。
所得税:課税所得に対して一定の割合で発生する税金です。(割合は下記表を参照)
住民税:同様に、前年の課税所得額に応じて税金の額が決められます。
②課税所得と税率について
では、課税所得とはなんなのか、簡単にいうならば、収入から経費(支出)を引いて残る利益、が課税所得です。
年末調整の時にいろいろと記入する用紙があると思います。年末調整は、各種控除を申請することで、所得からそれらを差し引いた額を本来の課税所得として精算する作業です。保険や扶養等の控除がある場合、課税所得が下がるため、1年間かけて払ってきた税金から、その差額が戻ってくるというもの。このように課税所得が下がると減税になるのです。
以下国税庁のホームページより
③減価償却という勘定科目
ここまでお伝えした通り、課税所得を減らすということが減税になり、今回の不動産投資での節税とは、それのことを指します。
会計の世界には原価償却という考え方があり、不動産投資の場合、とても重要な存在です。
この減価償却費とは、不動産等の建物や設備などを購入したことで、瞬間的に生じた高額経費は、その年に一括して経費計上するのではなく、その資産の別途定められた使用可能期間(法定耐用年数)にわたって分割して経費計上しいくというものです。たとえば30年と定められる規格の物件とすると30年間分割した経費計上ができるということになります。
国税庁のこちらのページから法定耐用年数がダウンロードできます。
④相続税の節税にも
所得周りの節税についてお話してきましたが、相続税の節税としても利用されることがあります。相続税を計算する際、現金の場合は額面そのままが税金算定の基準になりますが、不動産の場合は、実際の金額よりも低い「評価額」が算定する基準になります。そのため、支払うべき税金の額が、現金そのものよりも安くなり、条件しだいにはなりますが、現金にくらべて3分の1程度に抑えることも可能です。
不動産投資における節税の注意点
①確定申告が必要
周知の事実かと思いますが、サラリーマンが行う年末調整では、不動産周りの支出については控除できませんので確定申告は必要です。確定申告をすることで不動産所得、または赤字、経費、減価償却といった項目で課税所得を算出し、税金額が割り出されます。
②銀行融資が受けにくくなる可能性
確定申告の内容によっては、追加融資が受けにくい、別件でのローンが組みにくいという場合もあります。節税を目的とするあまり、収入が少なく見えすぎるような申告は注意が必要です。
③大幅な利益が出れば節税にはならない
お察しのとおりかと思いますが、不動産所得そのものは課税所得になりますので、経費や減価償却費をもってしても大幅に収益がでてくるようになると節税にはなりません。世の中には不動産の運用だけで生計を立てている人もいますし、会社もあります。それなりの利益になれば、それは収入、資産形成、として割り切ってポジティブに運用しましょう。不動産を購入し、最初のうちは減価償却や、実際の支払いとしてもローンもあるでしょうから、サブリースで安定的な収入があったとしても、会計上大きなプラスにはなりにくい、という前提あっての節税です。
④しっかりとしたシミュレーションが必要
動産所得以外の既存の所得額によっても税率や金額はかなり変わってきます。節税になるかどうか、はしっかりとしたシミュレーションを行った上で判断しましょう。
いかがでしたでしょうか。不動産投資において「節税だけ」を目的に取り組むのはおすすめできませんが、背中を押してくれる要素にはなりえると思います。また、条件等によっても、節税状況かわってきますので、よくシミュレーションをしてみると良いでしょう。