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【2. 不動産投資のリスク対策について】の口コミ情報

リスクを取ってこそのリターンといわれ、投資にリスクは付きものです。「不動産投資」にも空室リスクなどのいくつかの危険性の内在はあります。その手だてを講じることができれば成功を引き寄せることができます。

不動産投資成功への道に立ちはだかる敵=リスク

私、佐藤が前回の記事「1.不動産投資メリットやデメリットを考えてみました」で比べてみたように、株式投資や投資信託、FXなどの金融資産としての投資商品と違い、実物資産の不動産投資は比較的リスクが少ないことがわかりました。
株式のように、買い付けた銘柄の企業が倒産してしまい、紙切れになってゼロ円になるようなハイリスク投資(その代わりハイリターンの期待あり)とは違って、ローリスク~ミドルリスクに分類されることが多いのです。
土地や建物の実物を伴う実物資産の不動産投資は、株式のようにいきなりゼロ円になるような急落・暴落はまず想定しなくてもいい投資です。建物なり土地なりの現物は手元に残っている訳で、資産価値を手に握っておくことができます。

最悪のケース、物件を売却してリスクの軽減を図る不動産投資からのリタイヤもできます。
それでも「投資」である以上、リスク可能性を完全にヘッジ(回避)することはできません。

でもリスクを怖がるだけでは前進できません。
自分の考えではリスクやデメリットをよく見つめるとリスクをヘッジ(回避)する良策・グッドアイデアが見えてくるという立場なんです。リスクを軽視してはいけません。でも、あんまり怖がり過ぎても一歩が踏み出せないでチャンスロスしちゃっているかもしれませんから。完全回避は無理でも十分に対処可能な範囲にリスク要因を抑え込むことは可能じゃないかと思います。

当然、不動産投資に成功しているオーナー様のほうが絶対的に多数にのぼります。
書店のハウツー本コーナーの棚には、「成功する不動産投資の教科書」「私のマンション投資必勝法」的な成功体験をベースにしたガイド本が多数あります。
先行する成功者の手法をお手本にして、リスクをうまく手なずけることができれば、不動産投資は成功を着実に引き寄せることができるからです。

また極くごく少数の失敗事例を集めた不動産投資ガイド本もあります。失敗を反面教師にして成功に近づこうというアプローチで、成功体験よりも説得力があるというか、読後にも印象度が強い分、参考になるものです。

では、成功に通じる不動産投資への道に立ちはだかる敵=リスクにはどんなものが待ち受けているか、敵の全貌をここで一度、総点検しておきましょう。敵を知れば、もう怖くないはずですから。

リスクは3分類できます

不動産投資のリスクは3分類できます

[外部の経済要因によるリスク]
 ◇金利上昇リスク
 ◇不動産管理会社の倒産リスク

[賃貸運用していくなかで発生するリスク]
 ◇空室・家賃滞納リスク
 ◇災害リスク

[物件に潜んでいるリスク]
 ◇資産価値の下落リスク
 ◇経費がかさむリスク
 ◇瑕疵・事故物件リスク

金利上昇リスクとは……

不動産投資で物件を購入する資金を、全て自己資金で賄うというオーナー様はまずいないと思います。超富裕層の方をのぞいて、まして20代、30代のサラリーマン・OL大家さんなら、多くの場合、不動産投資ローンを組んで物件を購入することになります。
その際に、変動金利でローンを借りていると金利が上昇した際に返済額が増えるというリスクがあります。

たとえば、2000万円を金利2%で借りたときと3%で借りたときの返済額の差は、総額で450万円も多くなります。毎月の返済額も1万円以上も増えることになります。

2000万円・金利2%:返済総額27,826,073円、月返済額66,253円
2000万円・金利3%:返済総額32,327,416円、月返済額76,970円

現在はコロナ不況を食い止める意味でも、金融当局が超緩和的金融政策を遂行しています。いまの金利水準から考えて、返済期間中に金利が上がる可能性は少ないと見られます、金利が上昇したとしても返済が滞らないようにぎりぎりの返済計画を立てないことや、ある程度は緊急対応用の現金を手元に残しておくことが必要になってきます。

金利上昇リスクを抑える方法として、「5年間ルール」「1.25倍ルール」の融資商品を選択することも選択肢になります。
「5年間ルール」「1.25倍ルール」というのは、金利上昇になったとしても、最大5年間返済額変更なしの、返済額は最大1.25倍になるルールのことを言います。
つまり、このルール適用されている元利均等返済の融資商品を利用することによって、突然金利が上昇してもある程度ヘッジすることができます。
ただし、毎月返済額は1.25倍までしか上がらなくても、金利が急にあがってしまうと利息はその分だけ増加することになります。返済の元金の減少が遅れていくので、その点に関しては注意が必要です。また全ての不動産投資ローンが「5年間ルール」「1.25倍ルール」適用されているわけではありません、実際に融資を受ける前には確認しておきましょう。

不動産投資はローン融資と切り離せないものです。返済期間中に残債がある程度減少していれば、金利の引き下げ交渉や金利が安い金融機関への乗り換えも検討できるなど選択肢がひろがってきます。返済開始から数年間、きちんと返済できるよう余裕めの返済計画を取り入れた月間マネープランを試算して緊急対応できる余裕が残っておくようにします。

もうひとつの選択肢は、現在の金利水準からみて、将来、金利は上昇しても下がる可能性は低いので固定金利で契約することで完全にヘッジすることもできます。ただ「不動産投資ローン」は変動金利がメインになります。


会社名

不動産管理会社の倒産リスクとは……

不動産投資を副業で始めて、賃貸管理は専門の不動産管理会社のプロパティマネジメントサービスを利用するというオーナー様が大多数です。その不動産管理会社が倒産してしまう、あるいは財務状況が極端に悪くなって、会社を運用する資金に入居者様からの家賃を流用してしまう。すると家賃がオーナー様に振り込まれなかったり、入金が大きく遅れるなどの不測の事態に見舞われます。

不動産管理会社が倒産してしまうと当該管理会社の資産は全て管財人が保護するため、家賃回収ができなくなってしまいます。これが不動産管理会社の倒産リスクです。

ただし不動産管理会社の倒産は非常に稀で、管理会社の主な収入源である管理手数料は景気に左右されにくく、毎月安定して手元に入る収入、しかも入居者様から預かった家賃から管理手数料を差し引くため入金が遅れる、もしくは滞るといったこともまず起こりません。

倒産可能性を留意したほうがいい不動産管理会社は、賃貸管理事業以外に不動産開発(マンションやアパートの建設など)や他事業も併営していて資金繰りに費用を流用してしまう場合です。賃貸管理サービスを利用するとき、会社の概要をよく確認したり、総管理戸数や入居率の事業指標を聞いて優良企業か確認しておけば、あまり心配する必要ないと思います。

空室リスクとは……

不動産投資において「空室リスクこそが最大リスク」になるとよく言われます。
所有するマンションの部屋や戸建ての家を入居したい方に賃貸する不動産投資で、入居者様がいないため家賃収入が途絶えてしまうのが空室リスクです。「所有しているマンションが空室になり賃料が入らない状態」です。

これが不動産投資の最大リスクと恐れられるのは、ローンを借り入れて不動産を購入した場合に空室期間が長くなると、ローンの返済が滞ってしまい、返済を他の収入や資産で補えなかった場合は破産にもなりかねないためです。

入居者様が退去した場合、次の入居者様が決まるまでに数ヵ月間空室になるケースも珍しくありません。退去後の空室期間は購入当初のシミュレーションでもある程度は想定をしているはずです。一般的に、退去後の空室期間は2~3ヵ月位と見ておくケースが多いので、その期間が例えば4ヵ月以上に渡った場合などには当初のシミュレーションから狂いが生じてきてしまいます。
空室状態で家賃収入が途絶えてしまっても、ローンの返済は待ってくれません。管理費や修繕積立金の支払いなどの支出はつづきます。空室リスクはボディブローのように効いて、オーナー様の体力も気力も、とくに資産力を奪い取って後退させます。

しかし入居者様のライフステージにも大学卒業、就職、転職、結婚などをきっかけに変化が起こり、転居しなければならず、入居者様の退去は賃貸運用時の前提と心得ておかないといけません。

それに「空室リスク」に無力のまま終わらない対策はいくつも講じることができます。入居者様が「ここに住みたい!」と強く思えるような、優良物件の「商品力」などがモノを言ってきます。
物件選びのコツと重なりますが、ここに住みたい!と思う人が多数で、長期にわたり入居者様からの人気が維持できる物件は空室になりにくく、空室になってもすぐに埋まります。

 ①立地が良い (駅から物件までの距離、目安として最寄り駅から徒歩10分圏内)
 ②物件の周辺環境 (開発計画がある、学校がある、スーパーやコンビニなど買い物が便利である)
 ③設備グレード (オートロック、宅配BOX、浴室乾燥機、バストイレ別、洗面台、インターネット環境など)
 ④家賃設定 (家賃が周辺相場に対して適正か)
 ⑤信頼できる管理会社を選ぶ (リーシングの募集体制、建物・設備の日常管理、フリーレントの相談)

またサブリース(家賃保証)への切り替えの検討も切り札になります。「サブリース」については、ここの「佐藤のおすすめ記事」『いまさら聞けないサブリース。まるっと解説!メリット&デメリットの口コミ情報』にまとめています。


いまさら聞けないサブリース。まるっと解説!

家賃滞納リスクとは……

空室リスクの次に厄介とされるのが、入居者様の「家賃滞納リスク」です。運用するマンション、アパート、戸建てに入居者様がいたとしても、全員が必ずきっちり毎月の支払い期限までに家賃を支払ってくれるとは限りません。
うっかり支払いが遅れたという程度の滞納も含めると、滞納率は案外高いのです。ただ2ヵ月滞納率になると1.3~1.5%、100人に1人程度が長期滞納潜在者となっています。足元のコロナ感染症対策の自粛生活の長期化で、打撃が大きい飲食業などで働く方にも家賃滞納リスクは増加している可能性はありますよね。その意味では軽視できないリスク、また新しい入居者様を客づけてしまえば解決する空室リスクよりも、消費者保護の権利者意識の高まりから居直る滞納者もいて、督促や任意退去交渉が難航するケースもあるといいます。滞納も家賃収入が途絶えてしまうため悩ましいリスクです。

この家賃滞納リスクへの対策は入居審査の際に、入居者様に家賃保証会社の家賃保証制度に加入してもらう、また連帯保証人をつけるとよくリスクヘッジができます。既存の入居者様なら更新のときに家賃保証会社と契約を結んでもらうことができます。
家賃保証制度は、入居者様が家賃を滞納した際に、家賃保証会社が代わりに家賃を保証してくれる制度で、現在はオーナー様の大多数が採用して普及しています。契約時に家賃の0.3ヵ月~1ヵ月分、もしくは数万円の一定額を家賃保証会社に入居者様が支払う必要はありますが、連帯保証人となる両親などが高齢化して年金生活で保証人になれない、滞納したときに家賃を支払えないといった状況が増えてきたことから、急速に普及・浸透しました。

入居者様が家賃保証制度に加入していれば、家賃滞納時に手続きを踏んで請求をすれば滞納分を立て替えてくれますし、立て替えた分の督促業務はすべて家賃保証会社にお任せできますから、オーナー様は滞納で悩まされることがなくなります。
家賃保証会社の契約に退去時の汚損、破損の復旧費用の保証がついていないとき、連帯保証人もいると保証会社が保証しない家賃以外の費用についても回収が行えます。


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災害リスクとは……

災害と聞いて連想するのは、まず地震国の日本らしく地震、次いで火災、また最近の激甚気象で河川の氾濫など水害も挙がります。
不動産投資における災害リスクは、この地震、火災によって建物が損傷・損壊するリスクや、水害によって建物が浸水・腐朽・欠損するリスクです。オーナー様としては災害で建物などに被害が出ることも打撃ですし、それによって退去者が出て空室が発生したり、修繕費用の負担増加など被害が連鎖・拡大する心配があります。

この災害リスクへの対策は、不動産会社から購入時に保険会社の紹介を受けることが多いので火災保険の案内を受け取ります。またローンを組むときは金融機関からも保険会社が紹介されるので、どの保険会社の火災保険に加入するかを検討します。いずれかに入るのが必須になります。
なぜなら、ローンを借りる場合、金融機関は担保にした物件が火事などで損害を受けないよう、「火災保険」への加入を義務づけているからです。

火災保険は、総合的に補償が受けられる「総合保険」への加入が一般的です。総合保険は、火災、落雷、台風、集中豪雨、ガス漏れによる破裂、給排水設備の事故による水漏れなどの損害を幅広くカバーしていて補償します。地震に備えて「地震保険」に加入する場合は、火災保険のオプションで加入することになります。

火災保険、地震保険への加入で損失への補償は対応策を講じることができますが、ここでも先回りしてハザードマップで水害リスクを調査する、地域危険度マップで地震・火災リスクを調べることを推奨しているガイド本があります。そこまで実施できたら素晴らしいですが、そこは努力目標として、自分の物件がある地域、取得を検討する物件のエリアについては過去の震災時に土壌の液状化現象などがなかったかなど軽くネット検索したり、区役所HPのハザードマップを検索したりしてみるのは簡単です。参考になると思います。

あと建物は1981年6月1日以降に建築確認申請をした新耐震基準を満たした物件を選ぶことも、災害リスクをおさえるための対策のひとつです。

資産価値の下落リスクとは……

不動産投資の資産価値下落リスクは、建物の経年劣化や周辺環境の変化(例えば大学キャンパスの移転、大型ショッピング施設の閉店)などで、土地や建物の資産価値が下落し、査定価格が大きく下がってしまったり、家賃を安くしなければならないようなリスクです。

一般的に家賃は資産価値の下落により、築10年で5~10%、築20年で20%程度下がるといわれています。
ただ一律に経年劣化で家賃が下がるという訳でもなく、都心へのアクセス、駅近の「好立地」、エリア内の同等物件数と入居希望のニーズで需給バランスも変わってくるので資産価値を長く保持できる物件もあります。
毎月の運用状況が ローン返済+諸経費<家賃 でプラスキャッシュフローを保てている限り運用継続できますし、投資をリタイヤする物件売却でキャピタルゲインの獲得を検討してみたりもできます。
 ローン返済+諸経費<売却額 であれば利益を確保でき、売却は可能です。

一方、立地が良くても老朽化の進んだ物件では高い家賃を確保することが難しくなってきます。
建物の老朽化以外にも、周辺環境の劣化、新しい競合物件の供給増で家賃を下げない限り空室リスクも高まってくるほど資産価値の下落リスクが進むことも考えられます。
 ローン返済+諸経費>売却額 になってしまうと赤字を自己資金で埋めることになるので売却も困難になってきます。

資産価値の下落リスクの対策のひとつに、日々の清掃や修繕を行うことで老朽化のスピードを遅らせ、資産価値をなるべく下げないようにメンテナンスすることが挙げられます。
また家賃を下げないように部屋をリフォームする、新しい設備を導入するなどの対策を講じます。
さらにリーシングが順調なときに繰上げ返済を進めておきローン残債を減らして、資産価値の下落リスクが顕在化したときに投資をリタイヤできるようにする
ことも選択肢になります。

不動産投資の世界で、東京都心ワンルームマンションの投資を盛んに推奨する背景のひとつに、この資産価値の下落リスクを担保するものとして物件供給と入居希望のニーズの需給バランスが挙げられます。
東京23区には、それぞれの条例により、新たなワンルームマンションの建築許可についての規制がありワンルームマンションの増加を抑制するようにしています。
規制の内容は、「一戸あたりの最低専有面積」や「総戸数に占める専有面積が一定以上の物件割合」、「ワンルームマンションの建築主に対して、一定の税金を課税」などで、結果的にワンルームマンションの乱立を避ける目的内容になっています。

単身世帯の増加を避けたい理由は、単身者は「地域活動への参加に消極的」であること、ゴミ出しや騒音などにおいて「トラブルを引き起こしやすい」ことが挙げられます。また、ワンルームマンションには、単身世帯層が入居しており、自治体にとっては税収面で課題があります。ワンルームマンションの建設は年々難しくなっています。

にもかかわらず東京都の試算で、総世帯数に占める単独世帯の割合が2035年には50%を超える見通しです。2040年には高齢世帯の45%が一人暮らし、そのうち75歳以上が半数超になると予想されています。加えて地方、海外の単身世帯の人口流入があるので今後10年、20年というスパンで見ると、東京都心エリアのワンルームマンションの需給バランスはタイトになっていきそうです。

経費がかさむリスクとは……

30年、35年といった不動産投資ローンを活用する不動産投資は、中長期の運用になるため投資物件に多額の維持費(ランニングコスト)を費やさねばなりません。
長期運用の過程で経費が思った以上にかさんでしまい、お金が足りなくなってしまうというリスクも起こり得ます。
区分所有のマンションで不動産投資をする場合、管理を管理会社に委託していれば管理費や修繕積立金が毎月必要になってきます。

不動産を所有するオーナー様は、毎年固定資産税や都市計画税を納めなければなりません。利益を得れば、確定申告で所得税の納付も必要になります。

出費を抑えたいとしても、定期的なメンテナンスやリフォーム費用を投じて物件老朽化を防がないと、上記してきた資産価値下落リスクや家賃下落につながります。このため不動産投資の運用開始前に経費の目安を把握して、返済不能に陥ることがないようにプラスキャッシュフローを保てることを確認しなければいけませんし、不安があるときは不動産コンサルタントに質問して不安を解消しておく必要があります。

 「ランニングコスト一覧」

固定資産税 固定資産税評価額の1.4%
都市計画税 固定資産税評価額の0.3%
所得税     課税所得から計算 → 課税所得=(家賃収入-必要経費)-各種控除
管理費     家賃収入の3~5%
修繕費     家賃収入の5~7%程度
共用部の水道光熱費 最低でも年間10万円から(建物規模:小規模想定)
除雪に関する費用 1回あたり数万円~10万円ほど
税理士顧問費用 月3~10万円ほど
登記費用 住所変更では3万円
ローン返済金

瑕疵・事故物件リスクとは……

瑕疵とは欠陥のことで、「物理的瑕疵」と「心理的瑕疵」に分類できます。
物理的瑕疵とは、雨漏りなど建物自体の欠陥です。
心理的瑕疵とは、過去に入居者様が自殺した、事件が発生した、反社会的勢力の事務所が近くにあるなど購入者様や入居者様が精神的に抵抗を感じて購入や賃貸するのを敬遠したくなる欠陥です。
この心理的瑕疵物件の典型例を「事故物件」と言うことは誰もがよく知るところです。

購入する側、部屋を借りたい入居者様側の気持ちになれば、当然、瑕疵のある物件は絶対に避けたいという気持ちになります。また事故物件であることは、宅地建物取引業法に基づき、契約者への告知義務が生じます。部屋で事故があったことを隠すことができないのです。
しかしオーナー様の立場としては、事故物件だからといって、いつまでも空室のままにしておくことはできません。泣くなく大幅に家賃を下げて、祈るような気持ちで事故物件でも気にしないで借りてくれる次の入居者様を待つことになります。

このように瑕疵物件は空室になったり、家賃を下げたりするリスクを負うので、想定した家賃収入が望めなくなります。

不幸にして保有する物件が「事故物件」になってしまったときの対策としては、誠実な管理会社に相談して迅速な対応をとることで被害を最小限に抑えることが推奨されます。また最近、事故物件専門に取り扱っている管理会社も存在すると聞きました。専門的なノウハウを有する業者を見つけて相談してみることは有効になると思います。

「事故物件」の話題では、賃貸管理会社の方針で2~3年の告知すべき期間が経過しても、何かをきっかけに「事故物件」であることが入居者様に知られるのは会社イメージを毀損するとして、10年程度は告知するという対応もあります。
「事故物件」の定義や取扱いにグレーゾーンが多いため、国土交通省が人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)を21年5月20日に公表しました。
1.他死、自死、事故死その他原因が明らかではない死亡が発生した場合は告知義務あり
2.自然死または日常生活の中での不慮の死が発生した場合は告知義務なし
   ただし長期間にわたって放置され、室内外に臭気等が発生し、特殊清掃等が必要になった場合は告知義務あり
3.告知義務は事案の発生からおおむね3年間

このガイドライン(案)はタタキ台であり、国民の皆様の意見を21年6月18日まで公募したうえでガイドラインを策定していくとのことです。少子高齢化が進み、単身世帯が増加する現況では、ワンルームやアパートでの孤独死が増えていきます。国土交通省の「心理的瑕疵」の取扱いに関するガイドラインの策定に、私、佐藤も注目しています。