CLOSE

【11. 不動産投資にかかる固定資産税について】の口コミ情報

「固定資産税」は、マンション・土地・一戸建などの不動産を所有していることに対して課される税金です。自宅用や「不動産投資」向けの物件の性格の違いにかかわらず、不動産を所有している限りは毎年支払う必要があります。固定資産税は、1月1日時点でその不動産を所有している人に課せられる税金であり、固定資産税評価額に税率を掛けることで税額を算出します。固定資産税評価額は各市町村が個別に決めるので、行政の担当者が総務省の定めた「固定資産評価基準」に基づいて算定するという流れです。また、固定資産税評価額は3年に1回のペースで改定されます。

「固定資産税」は何か

「固定資産税」は「固定資産税評価額×税率」で求めることできます。

不動産を所有しているのであれば、その不動産に自分が住んでいても住んでいなくても“所有している不動産すべて”が課税対象になってきます。所得税と違って、たとえその不動産が赤字経営であっても所有者として記載されているのであれば支払いの義務が発生し、またそれによる減免措置なども存在していません。

この投資用不動産物件を購入してから毎年支払う固定資産税は、 確定申告時に経費として計上できるため、所得からは差し引くことができます。
固定資産税の支払先で発行された納税証明書は大切に保管するようにしましょう。

ただ固定資産税の免税点未満のケースでは免除されます。
市町村に在住の同一人が所有する土地や家屋、償却資産の合計課税標準額が一定に満たない場合は、免税措置が受けられます。

定められた課税標準額の合計額を「免税点」といい、土地、家屋、償却資産それぞれで金額に違いがあります。次がそれぞれの固定資産に対する免税点です。

土地:   30万円
家屋:   20万円
償却資産:150万円

たとえば、家屋の課税標準額が30万円、償却資産が130万の場合の固定資産税は、家屋が20万以上で課税になり、償却資産は150万円未満なので免除になります。


会社名

「固定資産税」は都市計画税とは違う

「固定資産税」に似ている税金に都市計画税があります。固定資産税と都市計画税を合わせて「固都税」と呼ぶことがあり、都市計画税は主に都市計画事業や土地区画整理事業に利用される税金です。つまり道路や下水道の整備や、公園を造るための財源に充てられます。 

都市計画税は「市街化区域内」の不動産にしか課税されませんが、固定資産税はどの区域であろうと課税されます。
ただ収益不動産は市街化区域に立地することが多いので、不動産を所有したら固定資産税と都市計画税の両方を支払うと認識しておいたほうがいいでしょう。

固都税の標準税率

税額の「基準」=税率は、固定資産税は、固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は、固定資産税評価額の0.3%です。
これを基に、各市町村が決めて良いことになっていますが、固定資産税の1.4%は、ほとんどの自治体がそのまま採用しています。

それに対して、都市計画税は、元々の意味合いが上記のように都市計画事業や土地区画整理事業に利用され、道路や下水道の造る財源に充てられるため行政の財政状態によって変わってきます。
0.3%と言うのは「制限税率」の意味合いであり「これ以下にしなさい」と言うものです。0.2%の市町村や0.25%の市町村もあります。

「固定資産税」の納付時期は

「固定資産税」の納付は、東京都および各市町村から毎年4~6月頃に「固定資産税決定通知書」という封書が送られてくるので、その通知書を元に納付します。東京23区内だけは東京都が管轄しています。各市町村により通知時期などは若干の違いがあります。

納付時期は、6月(第1期)、9月(第2期)、12月(第3期)、2月(第4期)の年4回、各納期限までに納めます。
たとえば、2021年の東京23区の場合には固定資産税の納付期限は以下です。

 第1期: 6月30日まで
 第2期: 9月30日まで
 第3期:12月27日まで
 第4期: 2月28日まで

このように、固定資産税は4回に分けて納付期限が決まっています。4回に分けて支払っても、一括で支払っても大丈夫です。

「固定資産税」の保有期間による精算(清算)

「固定資産税」は、1月1日時点でその不動産を所有している人に課せられる税金と冒頭に記載しました。
ただ不動産を売買するケースでは、中古マンションを購入して7月1日に引き渡しを受けるなど、1月1日以外での譲受になります。

このケースでは固定資産税は売主・買主間の保有期間に応じて精算することになります。
たとえば7月1日の引き渡しのケースでは、1月1日~6月30日の固定資産税は売主、7月1日~12月31日の固定資産税は買主が支払うのが原則です。

固定資産税の支払い者はその不動産の所有者ですが、その所有者の判断は所有権が登記されているかどうかになります。

不動産の登記は引き渡し時に行うので、売買契約から1~2か月後に所有権が移ります。つまり、固定資産税の精算は、売買契約日ではなく引渡し日をベースに精算します。
その保有期間に応じて日割り計算して精算を行います。
7月1日受け渡しのケースで中古マンションの固定資産税額が年間12万円だったとしたら、中古マンション購入者は固定資産税精算分として、6万円(半年分)を売主に支払うことになります。

「固定資産税」の支払い方法は

「固定資産税」の支払い方法は、「固定資産税決定通知書」の振込用紙を使って、役所に直接赴いて窓口で支払うのはもちろん、銀行や郵便局などの金融機関で口座振替により納付することが一般的でした。

しかし最近は納税者の利便性に考慮して、固定資産税をコンビニエンスストアでも納付できる自治体が増えてきています。しかも、現金での支払い以外にクレジットカードや電子マネーを利用することが可能な場合もあります(各市町村ごとに異なるので事前確認は必要です)。
クレジットカード支払いはポイント付与によりポイントを貯めることができる反面、クレジットカード決済により手数料がかかるデメリットもあります。

たとえば、東京都の都税クレジットカードお支払サイト(上限は100万円まで)の事例では決済手数料は、税額1万円ごとに73円(消費税別。消費税込=80円)が加算されます。この手数料負担とポイント還元率のどちらがメリットあるかを確認してみる必要はありますね。

クレジットカードのほかに、セブン-イレブンのnanacoでの支払いが利用できる自治体もあります。この場合もnanacoにポイントが付与されます。
さらに、Yahoo!JAPANの「Yahoo!公金支払い」というWebサイトからクレジットカードを利用して固定資産税を納付することも可能です。
この「Yahoo!公金支払い」を利用すれば、クレジットカードのポイント以外にTポイントも付与されるため、さらにお得に固定資産税を納めることができます。

このほかスマホ決済が浸透したことにより、自治体によってはスマホで固定資産税の支払いも可能になりました。
東京都では2021年の4月時点で「PayPay」及び「LINE Pay」の決済サービスが利用できます。
こちらのスマホ決済でもクレジットカード同様にポイントを貯めることが可能です。クレジットカードと違って原則、手数料無料でポイントを貯められるのは魅力です。

スマホ決済には支払い上限が設定されています。納付書1枚あたり、延滞金や加算金を含めた上限は“30万円”になっています。


会社名

「固定資産税」の算定方法

(1)建物の固定資産税

建物の固定資産税評価額は、その建物をもう一度建築した場合にどの程度の費用が掛かるかという再建築価格を基本として計算されます。

さらに、その建物の築年数に応じて固定資産税評価額は減額されます。
建物の固定資産税評価額は、

   再建築価格評価点×減点補正率×床面積×評価1点当たりの価格=固定資産税評価額

という式で求められます。減点補正率は経年劣化による価値の減少を表す数値で、1年経過で0.8、2年経過で0.75、3年経過で0.7というように補正されます。

また、評価1点当たりの価格ですが、木造の場合は0.99、それ以外は1.1を掛けるように決まっています。

このように導かれた固定資産税評価額の1.4%(標準税率)が、固定資産税額となります。

実は、固定資産税評価額について整然とした計算式を上記のように記載するのは簡単なのですが、「再建築価格評価点」や「経年原点補正率」、「評価1点当たりの価格」が計算式に含まれているため、とても複雑になり自力で正確な数値を出すことは難しくなります。中古物件ならば元のオーナー様が支払っていた固定資産税額を教わります。新築物件なら建築を依頼した収益不動産会社に、固定資産税額のおおよその目安を聞いておくと税費用負担のシミュレーションなどに使うことができます。

(2)土地の固定資産税

土地の固定資産税評価額は、路線価によって求められます。

路線価とは、土地が面している道路によってきまるその土地の価値です。
土地の固定資産税の税額は、

  土地の路線価×土地の面積×0.7=固定資産税評価額

という式で計算できます。この固定資産税評価額の1.4%が固定資産税額となります。

課税標準額と評価額の違い

課税標準額は、固定資産税の算出のために決められる建物の価値を金額で表した数値で、この金額の1.4%を固定資産税として毎年納付する必要があることは上記に見てきたとおりです。

この課税標準額は宅地の場合、評価額の65~70%程度です。宅地に限ると評価額は実際の売買価額の70%程度になります。

中古物件と新築物件で固定資産税に違いがあるか

建物の固定資産税額は3年ごとに見直され、築年数が経つにつれて税額が低くなっていきます。これは経年劣化などにより、建物の価値は下がっていくと考えるためです。

このような考え方から、単純に考えれば中古物件のほうが固定資産税は安いといえます。

しかし、新築物件は3年間または5年間固定資産税の軽減措置を受けることができる制度があるため、一概に中古物件は固定資産税が安いとは言えません。

収益物件に限らず、一般の住宅であっても固定資産税は課税標準額の1.4%が固定資産税額になります。

そして下記の条件を満たす住宅であれば新築住宅の軽減措置を受けることができます。

   2020年3月31日までに新築された住宅であること
   住宅の居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
   共同住宅の場合は居住部分の床面積に、廊下・階段などの共有面積を按分し、合計した床面積が50㎡以上280㎡以下であること
   貸家物件で共同住宅である場合には、一戸につき40㎡以上280㎡以下であること

この条件を満たすと固定資産税の税額は、

   新築住宅の固定資産税額=課税標準額×1.4%×1/2

このように半額までの軽減措置があります。

一戸建てと1棟マンション・アパートの固定資産税の違いは何

固定資産税の軽減措置のなかに、小規模住宅用地の軽減措置があります。小規模住宅用地とは、住宅用地のうち住居一戸当たりの200㎡までの部分を指します。

この小規模住宅用地の減免措置を行うと、200㎡以下の部分の固定資産税の税額が課税標準の6分の1に、200㎡を超える部分の固定資産税の税額が課税標準の3分の1に軽減されます。

[一戸建て]
一戸建ての場合、200㎡までの部分に固定資産税の小規模住宅用地軽減措置が適用されます。
一戸建てを3000㎡の敷地に建てた場合、3000㎡のうち200㎡の土地の課税標準額が価格の1/6になり、残りの2800㎡は課税標準額の1/3が課税標準額になります。

[マンション・アパート]
マンションやアパートの場合は、 200㎡×住戸数の面積が小規模住宅用地となるため、1棟の物件を所有することで土地に課せられる固定資産税を大幅に軽減することができます。

たとえば10戸のアパートを3000㎡の敷地の上に建築したケースでは、固定資産税の税額は 200㎡×10戸(2000㎡)までは価格の1/6が課税標準額になり、残りの1000㎡は価格の1/3が課税標準額になります。

小規模住宅用地に対する固定資産税の軽減措置は、一戸建てとの比較では1棟物の集合住宅のほうが有利です。
このようにマンションやアパートを1棟運用する不動産投資は、土地に課せられる固定資産税を大幅に節税することができます。