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【5. 不動産投資でかかる経費について】の口コミ情報

「不動産投資」の収益を最大化するための方法のひとつに、経費を正しく計上することで利益にかかる税金額を適正化して手元に残るキャッシュを確保することがあげられます。経費の計上を怠って過少計上がつづいていると、税金を多く払うことになってしまいかねません。経費についても要点を学んでおきましょう。

「不動産投資」の経費に認められる主要項目

「不動産投資」による総収入(賃料+礼金、更新料)は必要経費を差し引いて、所得区分上の『不動産所得』に区分されます。
計算式は 総収入金額-必要経費 = 不動産所得の金額 

この計算式からも想像がつくように、不動産所得における必要経費は「不動産収入を得るために直接必要なもの」になります。必要経費に計上できるものは多岐に渡るため、以下にその経費に認められる主要項目を概観してみます。

(1)ローンの金利

「不動産投資ローン」の融資を受けているときの金利分のうち、土地部分の金利を除く建物部分(設備含む)の金利は経費計上OKです。
逆にローンの元金部分(土地・建物・設備)、土地部分の金利は経費計上NGです。

購入した不動産の土地、建物のそれぞれの金額は、売買契約書に記載されることが多いので、それを確認します。契約書に設備の金額を分けて記載している場合もあります。その場合は設備部分の金利は経費計上ができます。

返済金額のうち、元金部分と金利部分、それぞれの金額は、ローン会社が返済表を準備しています、その額を確認します。

(2)保険料

火災保険や地震保険の保険料は、経費計上OKです。

(3)管理会社の管理委託料

プロパティマネジメントサービス会社への管理委託料も、経費計上OKです。

自主管理をされているオーナー様以外は、家賃集金や入居者様募集、入居者様対応業務などを信頼できる管理会社に任せていると思います。管理会社の明細を確認して経費を把握できます。

管理会社によっては、確定申告にあたって管理を委託している範囲の経費に関する資料をまとめて作成してくれるところもあります。そうしたサービスがなくても、確定申告時に一年分の明細で対応できます。

(4)管理費

建物の管理費は、経費計上OKです。

建物は個々のお部屋以外にも、共用部分の清掃や設備の点検・保守などに管理費がかかります。

管理費は、上記の管理委託料と共に、同じ管理会社に支払っているケースもあります。あるいは分譲タイプのマンションの場合は、部屋(専有部)の管理会社と建物全体の管理会社が異なっているケースもあります。エレベータの保守、消防点検など、管理会社を通さずに費用を支払うケースもあるので請求書を保管しておきます。

(5)仲介手数料、広告宣伝費などリーシング費用

賃貸仲介会社に支払う仲介手数料、また管理会社、仲介会社への広告宣伝費も経費計上OKです。

仲介手数料は基本的に新たな入居者様が決まるたびに負担が発生します。広告宣伝費は客付けを促すために実施することがあります。
他にもリーシングを目的に家具家電や商品券を入居者様にプレゼントするケースも想定できます。これも交際費として経費計上OKです。プレゼントが経費で落とせるなら客づけ対策の手立ても増やせそうです。

(6)修繕費

不動産の修繕費は、経費計上OKです。
退去にともなう原状回復のリフォーム費用、設備故障にともなう交換費です。

(7)固定資産税などの税金

不動産投資を行う上でかかる税金は、経費計上OKです。

固定資産税
都市計画税
登録免許税
不動産取得税
印紙税
自動車税、重量税(不動産投資に使っている部分のみ按分割合します)

副業で不動産投資に取り組むオーナー様の多くは、自動車を仕事とプライベート兼用で使うことが多いと思います。その場合、どれくらい経費にすることができるか。
例えば、平日は不動産投資の仕事だけで使い、土日はプライベートで使うなら7分の5(週7日のうち5日分を経費にする)になります。

(8)司法書士や税理士への報酬

不動産投資を行うなかで必要になった司法書士への登記依頼、税理士への確定申告依頼、(家賃滞納などに伴う)弁護士への訴訟依頼の費用は経費計上OKです。

(9)通信費

不動産投資に使用した通信費は、経費計上OKです。

スマホやパソコンの購入代金
携帯電話会社の料金
インターネットのプロバイダー料金
不動産投資に使用するソフトやアプリの購入代金

不動産会社や管理会社との連絡手段にスマホやパソコンはなくてはならないツールです。
ただし、不動産投資以外にも同じ端末機器を使用している場合は、自動車と同じように按分割合が必要で、不動産投資に使った部分のみを計算して費用計上します。

(10)旅費・交通費

不動産投資のために遠方に移動したときの旅費・交通費は経費計上OKです。
不動産購入にあたって現地訪問、交渉や契約のための不動産会社訪問、決済や面談のための金融機関訪問、所有物件の状況確認といった目的のために使うことが想定されます。

公共交通機関の運賃
高速道路料金
自家用車のガソリン代
駐車場代
ホテルの宿泊費

領収書を入手しなかった公共交通機関利用の交通費については、日付・金額・目的など明細の分かる「旅費精算書」を作成します。

(11)自動車関連費用

車両の購入代金
車検などのメンテナンス費用
自動車税
保険料
レッカー代金

不動産投資に自動車を活用する場面は多いと思います。自動車関連費用は幅広く経費計上OKです。
その自動車をプライベートでも利用するときは按分割合のうえで経費計上します。

レッカー代金は経費計上OKですが、反則金、罰金は当然、費用計上することはNGです。

(12)情報収集の費用や研修費

不動産投資をする上で必要だった情報収集の費用や、セミナー参加の研修費は経費計上OKです(資格取得費用は経費計上NGです)。

新聞代
書籍代
セミナー代
コンサルティング代

(13)交際費

不動産会社、管理会社の担当者と打ち合わせのための飲食代は経費計上OKです。
領収書をもらって誰とどんな目的で行った飲食かを記入しておきます。

(14)減価償却費

収益用不動産の建物部分の減価償却費は、毎年の確定申告時に実際の支出はありませんが経費計上OKです。経年劣化のない土地の購入費用は減価償却しないので、経費計上NGです。

不動産購入費用のうち、建物部分については、減価償却の年数で割った金額を毎年確定申告時に計上します。減価償却期間は建物の構造によって決まる法定耐用年数と、築年数を使って計算します。

 【建物の構造】     【耐用年数】
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造 47年
鉄筋コンクリ―ト(RC)造   47年
鉄骨造(厚さ3㎜以下)     19年
鉄骨造(厚さ3㎜超え4㎜以下) 27年
鉄骨造(厚さ4㎜超え)     34年
木造モルタル        20年
木造            22年 

減価償却の計算式には2つがあります。
 ① 定額法
【計算式】減価償却費=取得価格×定額法償却率(この事例では10%)
法定耐用年数の期間中、毎年同じ額の減価償却費を計上していく方法です。例えば100万円の資産を10年で償却する場合、毎年10万円ずつ償却することになります。

 ② 定率法
【計算式】減価償却費=(取得価格-前年度までの減価償却累計額)×定率法償却率(この事例では20%)
取得当初の価格からそれまでの減価償却累計額を差し引いた額に、償却率を掛けて算出します。例えば100万円の資産を10年で償却する場合、1年目は20万円、2年目は16万円、3年目は12.8万円と、毎年償却費が減少します。

計算式に用いる償却率とは、耐用年数に応じて定められた割合のことです。
償却率には下記のように計算式の違いで定額法と定率法があります。

定額法償却率:1÷耐用年数
定率法償却率:定率法償却率×2(定率法償却率=定額法償却率×2)

それぞれの償却率は例えば「耐用年数が2年」であったときなら、減価償却資産の償却率は以下のようになります。

定額法:1÷2年=0.5%
定率法:1%×2年=2%

(注)(注記)
2007年4月1日以後に取得した建物(躯体)、2016年4月1日以後取得の建物附属設備(設備類)については、定額法に限定されています。

不動産投資セミナーなどで減価償却費は、実際の出費を伴うことなく経費計上OKで支払う税金を抑えることができるため、「魔法のような経費」として節税に効果ありと説明されます。
また面白いことに、「魔法はいつか消える」から注意も必要とつづきます。減価償却期間の終了後に想像以上に税金を納めないといけなくなるかもしれません。そのため、設備を新しくする、新たに物件を購入するなどして新しく魔法をかける対処も必要ということになります。


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「不動産投資」の経費に認められない項目の例

(1)スーツ代、コンタクトレンズ代

スーツやコンタクトレンズは経費計上NGです。
不動産会社や管理会社、金融機関の担当者と会う際にのみ使用するとしても経費とは認められません。

(2)所得税・住民税などの税金

所得税、住民税は経費計上NGです。「不動産投資」に関係なく発生する税金として課せられます。

(3)資格取得費用

資格取得費用は経費計上NGです。

宅建士やマンション経営管理士、賃貸不動産経営管理士など不動産関連の資格も数多くありますが、「個人のスキルアップになるもの」と見なされて不動産投資の経費には認められません。

工事の支出に関する判断

建物や設備工事の支出に関する判断は、資本的支出にして複数年にわたって減価償却するものか、工事をした年に修繕費として一括して経費計上OKなのか迷うことがあると思います。

判断基準の例として下記のような見方をするといいと思っています。

(1)資本的支出
 モルタル塗装の壁をタイル貼りに変更する工事
 壁紙をグレードアップする
 ガス給湯器を追い炊き付きオートバスなど新型給湯器に刷新工事

これらは国税庁が定める耐用年数をそれぞれ調べて減価償却費を計上します。

(2)修繕費

 グレード変更のない定期的な外壁塗装
 同じようなグレードの壁紙への張替え
 ガス給湯器を同じ型や同じ機能のものに交換

これらは修繕費として認められます。物件価値を高めるとはみなされず費用が発生した年に一括で経費計上OKです。

「経費」節税効果への捉え方、考え方

「不動産投資」の経費に認められる費用項目を概観してきました。確定申告の時、申請できる経費の金額を最大化できると、結果的に支払う税金の額を低くする「節税」が可能になります。

しかし、節税観点からの効果的な経費計上と節税を実現する考え方には、経費を以下の2つのパターンで認識し直す必要があると会計士の方に聞いたことがあります。

[最大化すべき経費]=実際の支出がない減価償却費

不動産投資では土地と建物を物件総体としてとらえますが、契約書においては、土地価格と建物価格を明示して契約してもらうべきです。総体の価格のうち建物価格の割合を売主買主双方合意のもと、常識の範囲内で最大化することで、合計で支払う不動産の取得費用を増やすことなく減価償却費を多く計上することができます。

[最小限に抑えるべき経費]=その他の経費すべて

経費計上のために出費を多くしてしまうことはNGです。確定申告で所得税が還付されても、出費がかさんでしまっていては節税の意味がないからです。

「不動産投資」に関心がありながら、経費の全体像を予測することまで勉強できていないという方は、セミナーの個別相談で賃貸運用シミュレーションのデモ付きなど、各論内容にまで掘り下げたプログラムの利用で不動産投資にかかるランニングコストについての知識を増やしてみるのがいいと思います。